抗 不安 薬 副作用

薬の副作用と種類

 不安や緊張を選択的に除去や、軽減するために使うのが抗不安薬です。「アルコール」は、もっとも古くから用いられている抗不安薬のひとつでしょう。

   20世紀に入ると、バルビツール酸系やメプロバメートが使われていました。しかしこれらは、連用による耐性や身体依存性がよくあらわれやすかったのです。

 そこで登場したのがベンゾジアゼピン系。比較的副作用や耐性が出にくいために、現在の主流となって使われています。その他に、チエノジアゼピン系などがあります。神経症や心身症、不眠のさいの睡眠導入として用いられます。

 では、抗不安薬の副作用について説明します。
 どんな薬でも服用には、効果といっしょに副作用をともないます。抗不安薬の場合、その個人差が大きいと、思ってください。

 どんなものであれ、副作用は、できるだけ抑えたいところですね。しかし個人個人で症状が異なることが多いので、医師と相談して、より良い薬を選択することが好ましいでしょう。

 現在、よく用いられている抗不安薬が、ベンゾジアゼピン系。これら抗不安薬の副作用としては、眠気、ふらつき、依存性などが代表的です。

 眠気は、抗不安剤が、睡眠導入剤としても利用されることが多いことから、起こるべくして起こっている症状といえます。夜に眠れない症状を緩和するために、抗不安薬を服用するのであれば、期待したい効果でもあります。昼間に仕事をしながら服用しなければならない場合には、逆に、つらい症状となります。

 比較的軽い「眠気」の抗不安薬もあります。眠気の副作用を抑えたいのであれば、医師との相談で、薬を変えてもらいましょう。抗不安薬を初めて服用した場合、薬を続けているうちに、眠気などの副作用にだんだん慣れてくるケースもあります。これらの症状が出たら、薬をすぐに変える前に、医師に相談するのがよいでしょう。そのうちに、日常生活に支障ないほど、副作用がなくなる場合もあります。

 薬を換える以外にも、量を減らすなどの対処方法もあります。

 眠気までいかなくて、ぼんやりした感じ、注意散漫、集中力低下などが出る場合もあります。自動車の運転などはひかえなければなりません。


 眠気とは別に、ふらつきの副作用が出ることもあります。これは、抗不安薬の「筋弛緩作用」によるものです。筋緊張性頭痛、肩こり、腰痛などは、筋弛緩作用によって改善することがあります。ところが、筋弛緩作用が効きすぎると、運動失調や、ろれつがまわらなくなったりすることもあります。

 ふらつき、脱力感、疲労感、倦怠感(だるさ)などの副作用は、継続して服用することで、改善される場合もあります。改善しないときには、薬の減量や、ほかの薬への変更が必要となってきます。




薬で副作用を起こさない服用のやめ方

 ベンゾジアゼピン系の副作用を、おさらいしますね。

  ・精神運動機能の低下:集中力、注意力の低下、眠気、ふらつき、めまい、頭痛、健忘、構音障害(ろれつが回らない)など。
・健忘作用:高用量、アルコール併用で増強される。高力価、短時間型のものに多い。
・連用中に急にやめたり、急に大量投与したりすると禁断症状が出ることがある。
・精神分裂病患者では刺激興奮、錯乱などが見られる。


 同じ薬を長く服用することで、上記の副作用がなくなることがあります。薬を続けると体が慣れてくることもあって、続けることにより、副作用の症状が改善する場合が多いのです。今度は「依存性」が出ることがあります。抗不安薬を続けることにより、あらわれてくる副作用の一種といえます。

 依存性とは、その薬を、継続的、あるいは大量に摂取したいという強い欲求や行動です。

 「その薬の効果を求める」こと
 「その薬の効果がなくなった苦痛から逃れる」こと

 そのために、薬に頼ってしまい、薬がなくてはどうにもならなくなるのです。「長年つづけた習慣」とは違うものです。

 依存性のある代表的薬といえば、麻薬や覚醒剤などです。ベンゾジアゼピン系抗不安薬でも、長く服用しつづけることにより、依存性や習慣性が見られることがあります。

 医師の指示に従っていれば、ベンゾジアゼピン系抗不安薬の依存性の副作用は避けることができます。しかし、自身の勝手な判断で、急にやめたりすると、この症状に悩まされることがあるようです。

 何ヶ月も続けていた抗不安薬を急にやめたりすると、当然のことながら効果が切れます。これがきっかけとなって、薬と体との間で保たれていたバランスが崩れ、不安、不眠、イライラ、吐き気、知覚異常、けいれん、などが起こることがあるのです。

 症状は、薬を服用することにより、回復はします。
 が、これこそが依存している状態といえます。

 このような場合、薬を急にやめるのではなく、量を少しずつ減らしていくという方法をとります。時間をかけて薬の量や服薬回数を減らしていくのです。薬の効果の長さを変更してゆくという方法も、あります。

 いずれにしても、医師の指導が必要です。
 慎重、かつ長い時間をかけて行うことが肝心なのです。

「 もう、薬をやめても良いんじゃないかな ? 」

 そのように思ったら、必ず医師に相談してやめてゆくようにしましょう。
 自分で判断するのはダメです。

 薬の影響は意外と大きいのです。症状が改善して服用を終わらせる場合、自分の想像よりも、長い期間かけてやめていきます。

「 医師の都合で長い時間がかかってるのではないか?」
「 無駄な薬を服用しているのではないか?」

   そんなふうに考えるのはいけません。

 対応について説明をきちんと受けて、時間をかけて服用をやめてゆきましょう。
 多くのケースとして、服用をやめる時期が尚早な場合が多い、といわれています。